渡辺 努(わたなべ・つとむ)
1959年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行勤務、一橋大学経済研究所教授等を経て、現在、東京大学大学院経済学研究科教授。株式会社ナウキャスト創業者・技術顧問。キャノングローバル戦略研究所研究主観。ハーバード大学ph‥D。選考はマクロ経済学。著書に『市場の予想と経済政策の有効性』(東洋経済新報社)、『新しい物価理論 物価水準の財政理論と金融政策の役割』(共著、岩波書店)、『慢性デフレ 真因の解明』(編署、日本経済新聞出版社)、The Economics of Lnterfirm Networks(共編著、Springer)、Property Price Index:Theory and Practice(共編著、Springer)などがある。
過去の歴史の中で「物価を決めてきたのは、どうゆう要因があるのか」ということを多くの指数や人の心理をもとに解説し、物価変動の要因を解説しています。
そして、「世界や日本の物価の変動の違いが何故起こるのか」ということも合わせて説明しています。
・感覚的な物価の捉え方
・石油ショック時のインフレ裏事情
・物価上昇が原油価格に影響するという勘違い
・キャッシュレスと物価の関係
・貨幣価値を変動させる原因への捉え方
・ブラジル破綻時のインフレ対策の失敗要因
・物価を計算する上での様々な指数
・過去のデフレ事例
・店舗やネットで価格のばらつきが出る理由
・「物価」と「人の予想」との関係
・ハイパーインフレ時の意外な現象
・インフレと金利の関係
・インフレを起こす要因
・インフレを終わらせるための中央銀行の役割
・物価指数への様々な研究事例
・失業率とインフレの関係
・過去のインフレ要因とその時の対策事例
・市場の予測と中央銀行との関係
・ハイパーインフレを収束させた成功事例
・日銀のマイナス金利が及ぼした影響
・日本のデフレの特徴
・インフレ目標を達成させるためのコツ
・原料削減値下げが起きる理由
・なぜ日本はデフレが続いているのか
この「物価とは何か」は、過去に起きた物価変動時の事例をもとに多くの指数を用いて「なぜそれが起きたのか?」「その現象はどのような要因で起きたのか」ということを解説しており、物価に対して何が作用するのかを教えてくれる本となっています。
そして、内容としては学術的で難しく感じる部分も多いですが、世界がインフレに向かうのが当然であるのに「日本がデフレのままでいいのか」「日本も今後インフレの時代が来るのではないか」「インフレになったときの備えが必要なのではないか」ということを改めて考えさせてくれる内容となっています。
日本は、「商品は安いほうがいい」という感覚を持つ方が多くいるのが現状です。そんな中で、この「物価とは何か」という本は、「商品が安く売っていれば、安く買えるので良い」という感覚に一石を投じる内容となっています。
この「物価とは何か」という本を読むことによって、物価の変動は自分たち一人ひとりが関わっていることに気づかせてくれ、物価に対する考え方の違った視点を与えてくれます。
この「物価とは何か」は、かなり字が小さく読むことが苦痛になるようなページ数ではありますが、読みにくい場合は、ある程度読み飛ばしながら、今後のインフレリスクへの感覚を掴むために活用することをおすすめします。